がん罹患数1位の
「大腸がん」とは
大腸は大きく、結腸と直腸に分けられます。そして結腸はさらに盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸に、直腸は直腸S状部・上部直腸・下部直腸に細かく分類されます。これに加えて肛門管、虫垂、肛門の皮膚のいずれかに発生したものが、大腸がんです。
国立がん研究センターの調査によると、2019年に大腸がんと診断された人は15万人以上となり、その数は全がんの中で第1位となっています(男性1位・女性2位)。私たちにとって、もっとも身近ながんと言えます。
大腸がんは大腸カメラ検査による早期発見が可能であり、5年生存率は男女とも70%以上となっていますが、症状の乏しいがんでもあります。症状のある方だけでなく、便潜血検査で陽性だった方、40歳以上の方は、大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
大腸がんの症状
症状チェック
- 血便
- 下痢が続く
- 便秘が続く
- 下痢と便秘を繰り返している
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 便が細くなる
- 残便感
- 体重減少
- 貧血
初期症状
初期には、ほとんど無症状とお考えください。
便潜血検査で陽性であった場合には、他の症状がまったくなくても、精密検査として大腸カメラ検査を受ける必要があります。
進行時の症状
ここで挙げられる症状としては、血便、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、便が細くなる、残便感、体重減少などがあります。
これらの症状の一部しか現れない、ほとんど現れないということも少なくありません。
末期症状
末期まで進行すると、がんからの出血に伴う貧血、腸閉塞などの症状が見られます。
大腸がんの原因
加齢
胃がんなど他のがんと同様に、加齢に伴って大腸がんのリスクは高くなります。
大腸がんリスクは40代頃から上昇するため、40歳以上の方は無症状でも定期的な大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
生活習慣
食生活の欧米化、喫煙、お酒の飲み過ぎ、肥満、加工肉の摂り過ぎなど、生活習慣の乱れも大腸がんの原因となります。
遺伝
大腸がん、大腸ポリープの家族歴がある人は、そうでない人と比べると大腸がんのリスクが高くなります。
大腸がんの検査
大腸カメラ検査
現在、大腸がんの早期発見のためにもっとも有効となるのが大腸カメラ検査です。
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜を観察するため、炎症・潰瘍・がんなどを早期のうちに発見することが可能です。疑わしい組織を採取し、病理検査・確定診断を行うこともできます。
注腸造影検査
肛門からバリウムを注入し、レントゲン撮影する検査です。粘膜の凹凸を観察する検査であるため、平坦な病変の発見は困難です。
直腸診
医師が肛門に指を挿入し、直腸の状態を確認します。直腸がん、直腸の病気が疑われる時に行われます。
CT検査・MRI検査
周辺臓器への浸潤や転移が疑われる場合には、CT検査やMRI検査が有効になります。
大腸がんのステージ
がんの深さや転移の有無などによって、ステージは0期、I期、II期、III期、IV期の5段階に分類されます。
ステージ | 基準 |
---|---|
0期 | がんが粘膜に留まっている |
I期 | がんが粘膜下層までに留まり、周辺のリンパ節には転移をしていない |
II期 | がんが固有筋層にまで浸潤し、周辺のリンパ節には転移をしていない |
III期 | がんが固有筋層を越えて漿膜下層にまで到達し、周辺のリンパ節、または少し離れたリンパ節に転移している |
IV期 | 肝臓や肺に遠隔転移している、または腹膜播種が認められる |
大腸がんの治療
内視鏡的治療
早期の大腸がんについては、内視鏡を用いた切除が可能です。
低侵襲であるため、お身体への負担は最小限に抑えられます。
手術
進行している場合には、腹腔鏡を使った手術、または開腹手術が必要になります。
近年では、開腹手術より侵襲の少ない腹腔鏡手術で対応できるケースが増えています。
また手術後、人工肛門が必要になることがありますが、装置の改良によって以前よりもQOLが維持しやすくなっています。