下痢で注意が必要な症状
下痢の程度はさまざまです。また、腹痛などの症状を併発することもあります。
特に以下に該当する下痢については、医療機関での早急な検査・治療が必要です。体質だからと片付けず、できるだけ早く、当院にご相談ください。
- 便秘、下痢が続いている何日もひどい下痢が続いている
- 1日に3回以上の下痢がある
- 軽い下痢だが3週間以上続いている
- 下痢に血が混ざっている
- 腹痛、嘔吐、発熱、倦怠感、体重減少のいずれかの症状がある
下痢の種類と原因
下痢は、短期間で治まる急性下痢と、1カ月以上続く慢性下痢に分けられ、それぞれ原因が異なります。
急性下痢
ウイルス、細菌の感染による胃腸炎(感染性胃腸炎)がほとんどを占めます。
冷たいもの、刺激物、アルコールなどの摂り過ぎが原因になることもあります。
慢性下痢
クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、大腸がんなどの大腸の病気が原因になっていることが多くなります。
その他、ストレス、薬の副作用などが原因になることもあります。
下痢を引き起こす疾患
感染性胃腸炎
ウイルスや細菌の感染によって起こる胃腸炎です。原因となる病原体としては、ノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター、サルモネラ菌、O-157(腸管出血性大腸菌)などが挙げられます。
感染した病原体によって症状は多少異なりますが、下痢はほぼ必ず現れます。その他、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が見られます。
潰瘍性大腸炎
10代後半~30代くらいの若い世代で発症する炎症性腸疾患で、難病の指定を受けています。
下痢、血便、腹痛、発熱などの症状が見られ、進行すると潰瘍から出血し、血便や貧血を伴います。症状が良くなる寛解期と、症状が悪くなる活動期が繰り返されます。
完治のための治療法は確立されておらず、治療では寛解期を長く維持することを目的とします。適切な治療により、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
クローン病
10~20代の若い世代での発症が目立つ炎症性腸疾患で、難病の指定を受けています。
潰瘍性大腸炎とは異なり、口~肛門までのどの消化管でも発症し得る病気です。ただ中でも頻度が高いのは、小腸と大腸です。下痢、腹痛、血便、体重減少、発熱などの症状が見られます。潰瘍性大腸炎と同様、寛解期と活動期があります。また、適切な治療により、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
潰瘍性大腸炎とクローン病の治療は、当院が特に力を入れている領域です。
大腸がん
加齢、生活習慣の乱れ、遺伝などを原因として発生する大腸粘膜のがんです。
症状としては、血便、慢性の下痢や便秘、下痢と便秘の繰り返し、便が細くなる、腹痛、残便感などが挙げられますが、初期は通常無症状です。ほとんどの大腸がんは大腸ポリープががん化して発生するため、定期的な大腸カメラ検査でポリープを発見・切除しておくことが、大腸がんの予防につながります。
過敏性腸症候群
大腸粘膜に炎症や潰瘍、がんなどの病気が認められないにもかかわらず、慢性的な腹痛・下痢・血便といった症状が続く状態です。排便によって症状が一時的に軽減するという特徴を持ちます。
下痢型、便秘型、混合型、分類不能型(ガス型)などに分けられます。1日に何回も、症例によっては10回以上、腹痛や下痢でトイレに駆け込むということがあり、日常生活への影響も大きくなります。
慢性膵炎
下痢、脂肪便、腹痛などの症状が見られます。脂肪便とは、灰白色で水に浮きやすい便のことです。
約7割が飲酒を原因として発症します。進行して強烈な腹痛に襲われたり、糖尿病を合併したりといったこともあります。
下痢の治し方
急性下痢と慢性下痢、それぞれの治療法をご紹介します。
なお、原因が疾患にある場合には、各疾患に対する治療も必須となります。
急性下痢
多くは絶食し、症状が落ち着いてから少量ずつ、消化の良いものを摂っていきます。急性下痢の場合、ひどい下痢に加え、嘔吐などを併発していることも多いため、絶食中も脱水症状に注意しなければなりません。
食事は、お粥、うどん、すりリンゴ、具なしのスープ・出汁などから再開し、調子を見ながら、徐々に普段の食事へと戻していきます。
慢性下痢
基本的に絶食は必要ありません。栄養価の高い、消化の良いものを食べていきます。
牛乳、脂肪分、冷たいものなど、下痢の誘因となる食品は当分のあいだ避けておきます。香辛料、カフェイン、アルコールも同様です。
鳥のささみや胸肉、白身魚、玉子、豆腐、納豆、お粥、ご飯、うどんなどがおすすめです。その後、症状が落ち着くにつれて、普段の食事へと戻していきます。
下痢をしたときの食事
水分補給はしっかりと
下痢、嘔吐、発熱は、いずれも体内の水分を奪います。
絶食期間を含め、小まめに水分を補給してください。電解質を含む経口補水液(OS-1など)がおすすめです。
消化の良い食べ物・調理法
急性であれ慢性であれ、下痢がある時には基本的に胃腸が弱っています。当分のあいだは消化の良いものを摂ってください。
お粥、うどん、具なしスープ、すりリンゴ、玉子、豆腐、納豆などがおすすめです。
胃酸の分泌を促進させない
脂っこい物、甘い物、酸っぱいもの、刺激物、アルコール、カフェインといった胃酸の分泌を引き起こすものは避けてください。