大腸ポリープとは?
症状はある?
大腸ポリープとは、大腸粘膜層がイボのように隆起したものを指します。
過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、腺腫性ポリープなどに分けられ、腺腫性ポリープにはがん化するおそれがあります。
一方で、いずれの大腸ポリープもほとんど症状はなく、早期発見のためには定期的な大腸カメラ検査が必要になります。
大腸ポリープができた時の症状
大腸ポリープは、基本的に無症状です。しかし一部の症例では、以下のような症状が見られることがあります。
- 血便
- 便が細くなる
- 腹痛
- 腹部の張り
大腸ポリープを放置すると「大腸がん」に…
大腸ポリープを放置していると、大腸がんへと進行することがあります。
一方、ポリープを経ずに発生する大腸がんも存在します。
腺腫-がん連関説
腺腫性ポリープががん化して大腸がんになる、というパターンです。多くの大腸がんは、このように腫瘍性ポリープを原因として発生するものと考えられています。
またポリープが大きくなるほど、がん化のリスクは高くなります。
デノボがん
ポリープを経ずに、大腸粘膜に直接がんが発生するパターンです。
悪性度が高く、広がりやすいタイプと言われています。
鋸歯状経路
近年になって、腺腫に次ぐがん化のリスクがあるのではないかと言われるようになっているのが鋸歯状ポリープです。鋸歯状ポリープは、比較的男性に多く見られます。
大腸ポリープの原因
高カロリー食、加工肉・赤身肉の摂り過ぎ、飲み過ぎ、喫煙、遺伝などが主な原因と考えられます。
また、潰瘍性大腸炎などによる炎症が原因となって発生するポリープもあります。
年齢別では、40歳以上の方に好発します。
大腸ポリープができやすい人の特徴
- いつも食べ過ぎてしまう人
- 加工肉や赤身肉をよく食べる人
- 飲酒、喫煙の習慣がある人
- 大腸ポリープ、大腸がんの家族歴がある人
- 生活習慣病の人
- 40歳以上の人
大腸ポリープは、完全に予防するということができません。上記のうち1つでも該当する方は、定期的に大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
大腸ポリープの検査方法
便潜血検査
大腸ポリープから出血がある場合には、便潜血検査で陽性となる可能性があります。ただ、検査時に出血が止まっていた、そもそも出血していないといった時には陽性にはならないため、便潜血検査の結果だけで「ポリープがある/ない」と診断することはできません。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜を観察していきます。ポリープだけでなく、炎症・潰瘍・がんなども早期のうちに発見できます。
また当院の場合には、大腸ポリープを発見次第その場で切除する、ということが可能です。がんが疑われる場合には、病理検査も行います。
大腸ポリープの
治療(切除)方法
治療の種類
ポリペクトミー
もっとも一般的に選択される術式です。
ポリープの茎にスネア(金属製の輪っか)を引っ掛け、締め付けながら高周波電流を流して切除します。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
平坦なポリープに対して選択される術式です。
ポリープの下に生理食塩水を注入して持ち上げ、その後はポリペクトミーと同様の手順(締め付け・高周波電流)で切除します。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
広範囲の切除が必要な場合に選択される術式です。
ポリープの下に生理食塩水を注入して持ち上げ、電気メスで病変を切除します。
大腸ポリープ切除で悪性だった場合
切除したポリープを病理検査にかけ、悪性(がん)だった場合には、静脈やリンパ節に達していないかといった進行度を確認し、治療法を検討します。
内視鏡による切除ですべて取り切れている場合には、そこで治療が完了しています。しかし、粘膜下層に達していたり、リンパ節へと転移している場合には、手術(腹腔鏡/開腹)が必要になります。
大腸ポリープの予防方法
バランスの良い食生活
食べ過ぎ、加工肉・赤身肉の摂り過ぎがある場合には、改善しましょう。
食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが豊富な野菜や果物、穀物をバランス良く摂ることが大切です。
適度な運動
適度な運動は、大腸の働きを促進して便通を改善します。
運動不足の方は、運動習慣を身につけましょう。ウォーキングや散歩、軽いジョギングなど、負荷の軽いものでも構いません。
禁煙・禁酒
喫煙、アルコールの飲み過ぎは、いずれも大腸ポリープ・大腸がんのリスク因子となります。
禁煙、禁酒をするのが理想です。
大腸カメラの定期受診
40歳以上の人は、定期的な大腸カメラ検査を受けましょう。
大腸ポリープの予防にはなりませんが、ポリープの段階で発見・切除しておくことで、大腸がんの予防となります。
よくあるご質問
おならがよく出るのですが、大腸ポリープがあるのでしょうか?
まず、おならが出ないという人はいません。体内に溜まったガスを排出する生理現象として、むしろ必要なものとなります。加齢によっても増加するため、基本的にそれほど心配する必要はありません。
ただ、おなら以外に便秘、下痢、血便、便が細くなった等の症状がある場合には、要注意です。大腸ポリープだけでなく、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気が疑われます。特に血便や便潜血検査がある場合には、できるだけ早く大腸カメラ検査を受けましょう。
大腸ポリープ切除は生命保険が請求できるんですか?
大腸ポリープ切除は、日帰りの手術という扱いになります。医療保険によって給付金が出るかどうかは異なりますので、加入先の保険会社にお問い合わせください。
給付の対象となり、専用の用紙等がございましたら、当院にお持ちください。
大腸ポリープを切除した時の食事はどうすればいいですか?
大腸カメラ検査のみで終わった場合には、特に検査後の食事制限はありません。
しかし大腸ポリープを切除した場合、あるいは組織を採取(生検)した場合には、出血・穿孔等を防ぐため、2週間ほどは刺激の少ない、消化の良いものを摂るようにしてください。
やわらかく炊いたご飯、お粥、ネギなしの親子丼、食パン、スープ、うどん、豆腐、玉子、皮を取り除いた鶏肉、白身魚、よく煮込んだ大根・にんじんなどがおすすめです。
反対に、揚げ物、脂身の多い肉、海藻、きのこ類、食物繊維の多い野菜、生野菜、果物、キムチ、アルコール、コーヒー、薬味などはお控えください。